日本の住まいがなぜそうなったのか、根源にある理由を知ることが大切

建築家

竹原 義二

Yoshiji Takehara

1948年徳島県生まれ
72年大阪工業大学短期大学部建築学科卒業
大阪市立大学富樫研究室、美建・設計事務所を経て
78年無有建築工房を設立
96年村野藤吾賞
97年関西建築家大賞
03年甍賞(経済産業大臣賞)
04年木の建築賞など、多数受賞
現在、大阪市立大学生活科学部教授


21世紀という現代に、「和の住まい」を考えるとき、1930年代、つまり戦前、外国から「洋」が入ってきた時期に建てられた住宅が、どんなのかを知ることがポイントになると思います。当時は、洋が入ってきたことで逆に和というものを意識し、そのエッセンスを住宅にうまく取り入れているんです。そこにある根源的なものを理解することが現代では必要だと思います。この時代の、洋の意匠と和の住まい方が融合したもにはいい住宅が多いんです。残念ながら、どんどん壊されてしまっているんですけど・・・。

今は、和風とか洋風とか言っても、すべて形やデザインだけで語られてしまっています。たとえば、屋根の形がフラットだったら洋風、のように。でも、そんな見かけだけのことで決めてしまうのは間違っていると思います。屋根でも窓でも廊下でも、その形になったのは理由があるわけだから。その理由や必然性を知ることが、和の住まい方を理解することにつながるんです。そのためには、ある程度、日本の昔の建物や、建築の歴史を勉強する必要があると思います。

たとえば、書院造りの渡り廊下は、部屋から部屋へと折れ曲がってつながっていて、行くところどころに庭があって、人が立ち止まることができる。これは人が場所を動いていく回遊式の住居で、外部と内部の関係を考えてつくられています。民家でも、土間などは日常の作業と生活の場が一緒になったところです。

それぞれの部位が、なぜそうなったのかは必ず理由があるんです。日本の住まいというのは突然出てきたものではなく、こうした暮らし方を受け継いでつくられてきたものなんです。さらに、雨が多く四季がある日本の気候や風土に合わせて、先人たちはさまざまな工夫をしてきました。それが、必然性を持ってひとつひとつ形になっているんです。また、自分だけでなく近所に住む人や道行く人、外の自然や環境など「他者との関係」にも配慮したものになっていました。今、僕がつくっているのも、そんな日本の住まいの考え方を取り入れた住宅なんです。

住宅については、これまでに世相とともにいろんなことが言われてきました。しかし、21世紀は見かけのデザインやイメージでない、根本にあるものを住まいに求める時代になるべきだと思います。

今、家づくりを考えている人は、世の中に氾濫する情報に左右されず、日本人が受け継いできた住まい方についてじっくりと見直す作業をしてほしいですね。



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